密着!音楽隊 ー県民ふれあいコンサート前編ー
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25年ぶりの単独演奏会を開催
奈良県警察音楽隊は、令和7年7月5日、DMG MORI やまと郡山城ホールにおいて、25年ぶりとなる単独演奏会「県民ふれあいコンサート」を開催しました。
この演奏会は、奈良県警察音楽隊発足75周年を記念して企画を立ち上げたもので、全国の警察音楽隊がモットーとする“音楽を通じたふれあい”にちなみ、「県民ふれあいコンサート」と名付けました。

うれしいエールの反面
音楽隊は、県内各地において様々なイベントで演奏・演技を通じた警察広報活動を行い、おかげさまで多くの方々と触れ合う機会をいただいています。
音楽隊が出演するイベント会場は、軽快な、時に重厚な演奏に足を止めていく観客の方や日頃より音楽隊を応援してくださっているファンの方でにぎわいをみせます。

鑑賞いただいた方々からは、
楽しかった
上手だった
そんな言葉をかけていただきます。
こうしたエールは隊員にとって、とてもうれしい言葉であり、励みになります。
けれども、うれしいと思う反面、隊員の胸には歯痒さが湧いてくることもあるのです。
県警は、日本一安全で安心して暮らせる奈良の実現を目指しています。
警察音楽隊として演奏するからには、観客のみなさんの安全や安心につながる何かを感じていただきたい。
みなさんが悲しい事件や事故に遭わないよう、予防対策をしていただく、そんな思いを、私達は届けたいのです。

安全安心への思いを届ける演奏会に
「県民ふれあいコンサート」は、ただの演奏会では終わらせない、県民と警察を結ぶ音の架け橋になり、私達の安全安心への思いを届ける演奏会にしたい。
年明けから、演奏会の具体的な企画と準備に取り掛かり、開催に向けた訓練は、年度が改まってから本格的に始まりました。
プロモーション・宣伝、会場準備等は全て隊員と関係職員が行いました。
オリジナル譜面台も隊員が考え、作成しました。

二足のわらじ

全隊員が二刀流
奈良県警察音楽隊の隊員は、普段『お巡りさん』として交番勤務をしていたり、会計課で落とし物担当をしている職員で構成され、イベント等への出演依頼があれば「音楽隊員」として出動します。
そのため、通常勤務の合間を縫って演奏、演技の訓練に励むので、どうしても時間は十分には確保できません。
けれど、それを理由に失敗はできません。
県民のみなさんとの架け橋として
奈良県警察を背負っている
そんな気概をもって演奏に臨んでいます。

1か月間の集中特訓
音楽隊の訓練は、宇陀警察庁舎で行います。
通常、本務の傍らでイベント等の出演に合わせて訓練をしていますが、「県民のふれあいコンサート」は普段とは違い、演奏する楽曲数が多く、演奏時間も長いことから、演奏会を成功させるためには、いつもどおりの訓練では足りません。
そのため、隊員が所属する部署の理解と協力を得て、異例の音楽隊集中訓練を実施しました。
訓練期間は6月から本番までの1か月間。
隊員も気合が入ります。

思いどおりにいかないことへの悔しさ
女性警察官6名で編成するカラーガード隊。
色鮮やかな道具を手に、笑顔で演技をする裏では、厳しい訓練がありました。
隊員の中にはバトントワリングやチアリーディングの経験者もいますが、基本は警察官として採用された未経験の者ばかりです。
フラッグやバトン、うまくいかない時も歯を食いしばり、何度も何度も繰り返すことで少しずつ自分の技にしていきます。
できないことへの不甲斐なさに涙がこぼれることもありました。
そんな様子を知りながらも、必要な指導をしなければ全体としてまとまらない、指導する側も受ける側も真剣な姿です。

摩擦から生まれる情熱
練習を通じて、観客のみなさんが知っている曲にした方がいいのではないかとの意見から、一時決まっていた選曲を変更することになりました。
すでに練習をすすめていたこともあり、反発もありましたが、
観客の方に喜んでいただきたい
来て良かったと言っていただけるものを届けたい
そんな思いからの曲変更でした。
もっと頑張れ
もっとできるだろう
良いものにしたいという気持ちが高まり、時には隊員間で熱くぶつかり合うこともありました。
しかし、摩擦は熱を生み、情熱に変わるのです。
衝突を恐れず本音を出し合うことで、より一体となった演奏につながっていくのです。
日に日に隊員の集中力は高まっていき、演奏、演技に磨きがかかります。
集中訓練に送り出してくれる所属の期待に応えるため、なにより演奏を心待ちにしてくださっている県民のみなさんに満足していただくためにも
演奏部隊、カラーガード隊それぞれが高めあっていきます。

予想外の応募はがき
「県民ふれあいコンサート」は多くの方々に来ていただこうと、入場無料、全席指定とし、
「応募者多数の場合は抽選となる」
と応募要項に記載していましたが、募集開始当初は、定員が埋まらないかもしれないと不安でいっぱいでした。
しかし、ふたを開けてみれば、多くの方に高い関心を寄せていただき、結果として定員約800人の募集に対し、2倍以上の申し込みがあり、抽選での入場者決定となりました。
抽選に外れてしまった方には恐縮でしたが、応募が少なかったら…と心配していたこともあり、うれしい誤算となりました。
ご応募いただいたみなさんに感謝するのはもちろんのこと、それだけ多くの方々が「警察音楽隊」の演奏を目的に集まってくださるということに、胸が高鳴ります。
普段は警察と関わることなく、平穏に暮らしている方、事件や事故のニュースを見て、治安に不安を感じている方、漠然と警察に「堅い」「怖い」イメージを持っている方
そんな様々な方々に県警の思いを直接伝える機会を、音楽が紡いでくれたのです。

音楽を『聞いて終わり』ではなく、県民のみなさんに安全安心のための方策を知ってもらい、実践してもらいたい。
本番が近づくにつれて、警察音楽隊としての責務と情熱が隊員全員を一致団結させていきました。
(後編に続く)
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奈良県警察本部警務部広報相談課情報発信係
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