密着!西和署地域課 ー特別巡回連絡編ー
- ID:7109

私は関係ない、そう思っていませんか?
投資詐欺やロマンス詐欺などの被害が拡大していることはご存じの方も多いと思いますが、どこか他人事だと思ってはいませんか?
令和6年中における奈良県内の詐欺被害は、
特殊詐欺 270件 約13億4,340万円
SNS型投資・ロマンス詐欺 243件 約32億6,400万円
にのぼりました。
奈良県だけでこれだけの被害が出ているのです。

特別巡回連絡員、始動!
そんな詐欺の被害を防ぐため、県民の方に手口と対策を周知する「特別巡回連絡員」が、この度、西和署で誕生しました。
みなさんは、警察官が行う「巡回連絡」をご存じでしょうか?
「巡回連絡」とは、交番・駐在所の警察官がご家庭や会社等を訪問し、犯罪の予防、災害・事故防止などについて指導や連絡を行うとともに、みなさんからの困りごとや要望等をお伺いするものです。
その中でも、警察署長が必要があると認めたときに特別に行う「特別巡回連絡」というものがあります。
西和署では、特殊詐欺や投資詐欺を重点的に抑止するため、期間を定めて「特別巡回連絡」を実施することになりました。
5月9日、西和署の署長室で地域課の若手警察官3名が指定書を受け取り、特別巡回連絡員に指定されました。



コスパは悪いがリアルに防ぐ!
巡回連絡で戸別訪問した時、特殊詐欺の危険性をただ言葉で説明するだけでは伝わりにくい。
何か工夫ができないか?
そんな考えから、紙芝居を使用することにしたそうです。
デジタル化していく生活の中で、紙芝居って古いのでは!?と脳裏に浮かんだので、率直に特別巡回連絡員の3名に、指定された思い、紙芝居を使っての説明について話を伺いました。

特別巡回連絡員に指定された3名は、警察官になって1、2年目の若手警察官で、普段は交番で24時間勤務をしています。
紙芝居は、子どものころに見て以来ですが、動画と違って、
相手の理解度に合わせて説明をその都度変えたり、
話すスピードを変更したりできる
ので、アナログならではの良さがあります、と話してくれました。
((古いとか言ってすみません。。。))

普段の交番勤務では、現場臨場等の合間に、お住いのご家族の連絡先をお聞きしたり、防犯情報等をお伝したりしているので、どうしても時間があまり取れず、多くのお宅に伺うことはできません。
今回の『特別巡回連絡』は、巡回連絡に専念し、詐欺の手口やその防止策をご説明できるので、頑張ろうと思います。
大勢の前で「防犯教室」のように話したことはないので、できるか不安もありますが、芝居のような掛け合いをしたり、見ている方に話かけてみたりして、見ている方が飽きないような説明ができたら、と練習をしています。
SNS等の動画で流せば効率的かもしれませんが、「紙芝居、珍しい」、と印象に残り、いざというときに注意をしていただけるとうれしいです。((古いとか言ってすみま(以下略)))
交番勤務員として、地域の方と接する巡回連絡の大切さは、署内でもよく指導を受けています。
特殊詐欺の手口を知らない方に、分かりやすく伝え、知ってもらい、気を付けてもらいたいです。
知って、理解していただくことで、自分のこととして考えていただけると思うんです。
じゃあ、どうやって対策するのか、ということもこの巡回連絡で詳しく説明していきます。

外国からの電話攻撃への対抗策!その名も『国際電話利用休止』
特殊詐欺のきっかけのほとんどが、国際電話番号(+1、+44などが電話番号の始めに出てくる)からの電話です。
電話番号は桁数が限られるため、手あたり次第にかけ続ければ、誰にでも電話がかかってくる可能性があります。
被害者の中には「手口は知っていた。でもだまされた。」と話される方もいらっしゃるので、
『物理的に国際電話からの着信(犯人からの着信)を受けない対策』が有効です。
国際電話自体を一律に拒否することができる、それが「国際電話利用休止」です。
※これは、固定電話だけでできる申請で、携帯電話では申請できません。詳しくはコチラ(別ウインドウで開く)
電話に出てしまったら、相手は「警察です。」や「〇〇省の者です。」などと語り、言葉巧みにだまそうとしてきます。
犯人は複数人で、電話に出た相手からお金をだまし取ろうとしてきます。
一人で電話に出ては、分が悪すぎます。
相手が複数なら、守る我々も複数の知恵と対抗策で立ち向かう、そんな試行錯誤が「紙芝居」です。

どう言えば伝わるだろう。
もし支払ってしまえば、手元にお金が戻ってくることはない。
それが分かっているから、警察官として悲しくて悔しい。
国際電話利用休止申込みの手続きをしてもらうことで、被害に遭う可能性がグッと低くなる。
被害に遭う前に防ぎたい。
そんな思いを言葉に込めて、3人は紙芝居の練習をしていました。

いざ本番!
西和署は7つの町を管轄しており、「この日はこの町を」と、日を決めて巡回します。
初日は上牧町からスタートしました。
玄関先で説明を聞いてくださる方に、紙芝居を見ていただきました。
相手が一人なら、「紙芝居」として使用するのではなく、目で見て理解しやすい「マニュアル」として使用します。
相手の状況によって、紙芝居の使用方法を変えて使う、練習の成果が出ています。

警察官から説明を受けていた住人の方が、玄関先に出ていた近所の方にも声をかけてくださり、説明の輪が広がります。
お散歩中のワンちゃんも、一緒に話を聞いてくれていました。

特別巡回連絡員の説明を聞いて、国際電話利用休止申請書にその場で必要事項を記入してくださいました。
「この紙を書くだけで、怪しい電話がかかってこなくなるなら、いいねぇ。」
そんな言葉に、特別巡回連絡員も笑顔がこぼれます。

紙芝居を活用した防犯教室
巡回連絡だけではなく、地域の集まりに参加させていただき、詐欺の手口や国際電話利用休止について説明するとき、紙芝居はさらに力を発揮します。
この日は三郷町の自主防犯団体「鳩の会」の集まりに、交番勤務員がお邪魔しました。
特別巡回連絡で使用するものよりも大きな紙芝居を使って、聞き手の様子を見ながら説明をします。
皆さん熱心に聞いてくださいました。

「鳩の会」のみなさんは、説明に納得し、国際電話利用休止の申請書に記入してくださいました。
参加された方からは「怪しい電話で『警察』と名乗る人もいるから、本当の警察官が電話をしてきても、怪しんでしまう。でも今日のように、制服を着たお巡りさんが話をしてくれるから、安心できるし、書類も書こうと思える。」
そう言って、申請書を提出してくれました。

あなたのお金と気持ちを守るために、国際電話利用休止を勧めています!
海外にご家族やご友人がいらっしゃる等で、国際電話を止めることに支障がある場合を除き、一人でも多くの方に国際電話利用休止を申請していただきたいです。
警察では昔から
- 夜中に一人で出歩かない
- 怪しい場所には近寄らない
など、被害に遭わないために、危ない『場所』には近づかないように注意を呼びかけてきました。
でも今は、手の中に世界とつながる電話があります。
私たちは、みなさんが少しでも危ない場面に遭わないよう、被害に遭わないよう、可能な対策を繰り返しお伝えしていきます。
申請書1枚で国際電話から固定電話への危険を回避できます。
「また後で」、「今度また」ではなく、今、あなたの大切な人に勧めてください、『国際電話利用休止』。
最近の詐欺は警察官の姿をして、テレビ電話で警察手帳や逮捕状を見せてきますが・・・そんな電話がかかってきたら、紙芝居を思い出してください。
我々警察は人の顔を見て伝えます。
人の目を見て話を聞きます。
詐欺の被害に悲しむ人、悔しい思いをする人が一人でもいなくなるように、今日も特別巡回連絡員はみなさんのまちを巡ります。

必見!特殊詐欺防止の紙芝居!
お問い合わせ
奈良県警察本部警務部広報相談課情報発信係
ソーシャルサイトへのリンクは別ウィンドウで開きます